
先週の振り返り

まずはテクニカルから見ていきます。先週の仮想通貨相場も引き続きmergeを意識させるような相場となっており、BTCは先々週の高値圏での合意価格を下に否定し、抜けたところでVALにて反発し下で推移しました。

一方ETHはmergeに対しての事実売りの影響が大きいと思われBTCと比較して大きな下げ幅を見せております。
各種データ

天井圏からドイツのPPIの影響もあって急激に下落しました。その際BTC,ETHと共にActive OIが急激に減少しており大量の清算が起こったと見られます。今回は約780億円分の清算が起こりました。

今回の急落時のBinanceの現物のフローをHeatmap,CVDをあわせて見てみましょう。急落時には紫の大口の販売が目立ち売りが落ち着いてからは緑色の小口の購入が目立っておりフローを見ても現状では弱気に見えます。
これを見ることによって各層の仕掛け等を検知することができます。このようなサイズ別CVDは大口は注文を分割することにより小口のフリをすることができますが、小口は大口のふりをすることは不可能です。
ファンダメンタル
今週の注目は、ジャクソンホール・シンポジウム
みずほ銀行の当座預金にマイナス金利適用

みずほ銀行の当座預金の一部にマイナス金利を適用するとの報道から円売りが進行。ドル円は132円台から134円台まで上昇しました。
マイナス金利とは?
https://www.nikkei.com/live/event/EVT220817002/live
FOMC議事要旨
「当局者はある時点で利上げペースを減速することが適切と認識」とハト派な見解が示された一方で、
「インフレはしばらくの間、不快なほど高いままとなる可能性」
「金利を十分に制限的なレベルまで引き上げ、維持する必要がある」とタカ派な見解も示された。
タカ派な内容を予想していたマーケットは発表後ドル売りで反応したが、相対的にタカ派な内容であるためドル売りは限定的だった。
要人発言
9月FOMCの利上げ幅予想が0.5%と0.75%で分かれる中で、要人発言に注目が集まっていたが、タカ派の発言が続きドル買いが進んだ。
多くの要人はインフレ進行に懸念を示し、インフレを抑制するために積極的に引き締めを進めるといったタカ派な内容です。
ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「高インフレや堅調な雇用により、労働と雇用にいくらかの圧力がかかる可能性」
デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「インフレへの勝利宣言をするにはかなり早すぎる」
「金利は年末までに3%を少し上回る必要がある」
「9月会合では0.50%もしくは0.75%利上げが妥当」
ブラード米セントルイス連銀総裁
「9月会合で0.75%の利上げを支持したい」
「FRBは年末までに金利を3.75-4.00%に引き上げる必要がある」
ジョージ米カンザスティ連銀総裁
「雇用市場にはまだ緩和が見られず、企業は依然として賃金を引き上げる圧力にさらされている」
「利上げの停止点がどこになるかは明らかではないが、FRBはインフレが低下していることを完全に確信する必要がある」
カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「FRBはインフレをコントロールできるが、問題はリセッションを避けることができるかだ」
「至急インフレを低下させる必要がある」
バーキン米リッチモンド連銀総裁
「7月のインフレ指標はよくなっていた。インフレが継続的に低下する望みが少し見えた」
「FRBは制限的な水準まで利上げする必要」
今週のポイント
ジャクソンホール・シンポジウム
ジャクソンホール・シンポジウムとは米国のカンザスシティ連銀が毎年開催する、各国の中銀関係者や財務相、経済学者などを集めて行うシンポジウム。
夏休みの終わりに開催されることから、ジャクソンホール・シンポジウムからマーケットに参加者が戻ってくることもあり注目されています。
また、過去にはシンポジウムでドル高が協議され、その後プラザ合意が発表されとこともありました。2013年には当時のFRB議長だったバーナンキ議長が追加緩和しマーケットが大きく反応したこともありました。
ジャクソンホール・シンポジウムを起点に大きなトレンドが出来ることもあるので注目しておきたいと思います。
PCEデフレーター
PCEデフレーターはFRBが金融政策の判断基準に注目している指標。CPI(消費者物価指数)に比べてPCEデフレーターの方が調査範囲が広い事から、FRBはCPI(消費者物価指数)よりもPCEデフレーターを重要視している。
現在、FRBの関心は物価に集まっており、物価抑制を優先していることから物価指標であるPCEデフレーターに注目が集まっています。
製造業・サービス業・総合PMI
FRBは急ピッチで利上げを進めており、米国経済はリセッション(景気後退)に陥ってます。
※2四半期連続でGDPがマイナス成長だった場合リセッション認定となる
FRBはさらなる追加利上げも示唆していることから、今後の景気に注目が集まっている。
PMIは企業の景気に敏感な担当者に今後の景況感をアンケートし、結果を指数化したもので、今後の景況感を確認する指標として注目度が高くなっている。
※PMIはマークイット社が集計しており、米国には同様の指標としてISM製造業景況指数・ISM非製造業景況指数も注目されている
9月FOMC予想とドル買い
先日発表されたCPI(消費者物価指数)は予想を下回り、インフレのピークアウトを期待させる結果となりました。ただ、FRBはPCEデフレーターを重要視しており、PCEデフレーターの結果が予想を下回りインフレのピークアウトを期待させる結果となるかがポイント。
FRBの要人はインフレのピークアウトを確認する証拠はないなどインフレ懸念について発言しており、PCEデフレーターが予想を上回る結果であれば要人発言のインフレ警戒を証明する結果となり、引き締め加速・ドル高に繋がるのではないかと予想しています。
また、FRBの急ピッチな引き締めは景気後退懸念に繋がり、今後の米国経済に注目が集まっています。予想よりも弱い景況感(製造業・サービス業・総合PMI)が出てくると、ドル売りが進む可能性があり、逆に強い結果が出てくるとFRBの引き締めの追い風となりドル買いが進む可能性を考えています。
注目のジャクソンホール・シンポジウムではパウエルFRB議長の講演が予定されており、9月FOMCの利上げ幅について、年内や来年の利上げ幅、今後の米国経済について、どのような発言が出てくるかに注目が集まっています。タカ派な内容が出てくるとドル買いが進む可能性が高いのではないかと考えています。
今週のクリプトトピック
我々が注目しているクリプトのトピックを紹介します♪
NFTの流動性プールを提供するプロジェクト「sudoswap」
sudoswapはETHかERC20トークンとNFTをswapするためのAMMを提供しているプロジェクトです。流動性が低かったNFTを売りたいと思ったときにすぐに取引できるようになる画期的なプロジェクトとして注目を集めています。
現時点で合計12,000 ETH以上の出来高があり、1日あたりの取引量の7日間移動平均も600ETH強を記録しています。
引用:https://dune.com/0xRob/sudoamm
sudoswap AMMの特徴
ERC721のIDを区別しない
NFTは同一のコレクションでも見た目等の違いにより価格に差があることが一般的ですが、sudoswap AMMはこれらを区別せず、同じコレクションのどのNFTでも同じ価格を返します。
手数料が安い
NFTマーケットプレイス最大手のopenseaが最低でも2.5%の手数料を取っているのに対して、sudoswapは0.5%の取引手数料に抑えています。さらにsudoswapではクリエイターフィーを無視して取引できるのでさらに手数料を抑えられます。
複数の価格設定カーブが存在する
sudoswap AMMではLinear curveとExpnential curveの二種類の価格設定カーブを設定できます。
Linear curve
Linear curveでは、NFTがプールから購入されるたびにNFTの価格が一定の量だけ増加します。NFTが売却された場合は価格が一定の量だけ減額します。
Exponential curve
Exponential curveでは、NFTがプールから購入されるたびにNFTの価格が一定のパーセンテージずつ増加します。NFTが売却された場合はNFTの価格が同等に減額します。
今後の展望
sudoswapはNFTの流動性を高めるという大きな価値を提供してはいますが、sudoswap AMMでNFTが取引されてもクリエイターフィーが支払われないため、クリエイターにとってはあまり好ましくないものになっています。しかし、openseaより大幅に安い手数料や高い流動性はユーザーにとって魅力的です。
NFTの取引量は今後も多くなっていくことが予想されますが、ユーザーがどのマーケットでNFTを取引することを選ぶのか、クリエイターフィーの仕組みは今後どのように変化していくのか、注視する必要がありそうです。
総括
mergeを意識された上げは一旦天井を付けファンダメンタルズの影響もあってか株とともに短期ベア相場となっています。
特にETHの下げ幅が大きく今週は仮想通貨全体を見てもインフレ抑制のためにドル買いが促進されmargeへの時間、そして再び延期する可能性を考慮すると引き続き芳しく無い相場が続きそうです。